【平均移動線の番外編】MACDとは?

トレード始めたけどMACDって何?

って思った事がある人いると思うんですが、

というあなたのために、分かりやすくまとめましたので

ぜひトレードに取り入れてみてください


1.MACDとは


MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略で、「マックディー」と読みます。日本語に訳すと移動平均収束拡散となります。1980年前後にアメリカの機関投資家であるジェラルド・アペルによって発明された比較的新しい指標ですが、その精度の高さから愛用する投資家は非常に多いです。
移動平均線を応用したテクニカルの手法で、2つの移動平均線を使用して、買いと売りのタイミングを判断することができます。移動平均線は一般的に使用されるSMA(単純移動平均線)と異なり、昨日や今日といった直近の価格の比重が重いEMA(指数平滑移動平均線)を使用します。MACDは数あるテクニカル手法の中でも比較的精度が高いとされ、特に新規売買のシグナルとトレンドの方向性を認識するのに有効とされています。

2.MACDの計算


MACDで使用される2本のラインにはそれぞれ名称があり、その計算式も異なります。名称と計算式は以下の通りです。

MACD(テクニカル指標の名前と同じ):短期EMA(指数平滑移動平均線)-長期EMA(指数平滑移動平均線)
シグナル:MACDのSMA(単純移動平均線 )

MACD=基準線-相対線

基準線(EMA):過去12日(週・月)間の終値指数平滑平均
相対線(EMA):過去26日(週・月)間の終値指数平滑平均

EMA=B+α(A-B) A:t期の終値
B:(t-1)期における平均値
α:平滑化定数 0≦α≦1
α=2/(n+1)
n:平均する期間
同平均(SIGNAL)=9日(週・月)間のMACD移動平均線

MACDの算出に使用するEMAの期間は一般的に、短期EMAが9もしくは12、長期EMAが26を使用します。期間を変化させる際は、必ず短期の動きと長期の動きを捉えられるEMAの期間の数値にそれぞれ設定する必要があります。シグナルで使用するSMAの期間は9を使用します。
また、MACDからシグナルの値を引いて棒グラフにしたものをヒストグラムと呼びます。ヒストグラムによって、MACDとシグナルの乖離の度合いが一目でわかるようになっています。

3.MACDの使い方


まず見るべきポイントは、MACDとシグナルが交差するところです。MACDとシグナルの交差で売買サインを読み解くことができます。MACDの売買サインの見方は、移動平均線の見方と同じです。

ゴールデンクロスMACDがシグナルを上抜けること。買いのサイン
デッドクロスMACDがシグナルを下抜けること。売りのサイン


これらはグラフのゼロライン(ヒストグラムが0を表すラインのこと)から離れたところで発生した場合に、売買サインの確度が高まります。また、ゴールデンクロス発生後にMACDのラインがゼロを上回った場合は買いサイン、逆にデッドクロスの後にMACDのラインがゼロを下回った場合は売りサインと言えます。これらは売買サインとして有効で信頼度が高いと言われており、確度の高い投資機会を狙っている方は、これらのサインを待ってからエントリーするのも1つの戦術といえるでしょう。

MACDとシグナルがゼロのラインと交差するところ
MACDとシグナルがゼロラインと交差するサインからは、売買のシグナルだけではなく相場のトレンドを把握することもできます。

MACDとシグナルがゼロのラインを上抜ける:上昇トレンドの継続を示唆
MACDとシグナルがゼロのラインを下抜ける:下降トレンドの継続を示唆

現在発生しているトレンドが勢いの強いトレンドなのか勢いの弱いトレンドなのかを把握するためにも非常に有効なサインということができるでしょう。この場合は基本的に順張りでエントリーするのが定石とされています。上昇トレンドが継続するとされる勢いの強いトレンドの発生を確認した際には、買いのエントリー。下降トレンドが継続するとされる勢いの強いトレンドの発生を確認した際には、売りのエントリーといった具合です。

ヒストグラム
ヒストグラムも単体でシグナルとして活用することができます。前述の通り、ヒストグラムMACDとシグナルの差を表しています。つまり、MACDとシグナルが交差した時に、ヒストグラムは0になります。MACDとシグナルがゴールデンクロスになった時は、ヒストグラムは「マイナス→0→プラス」に転じます。逆に、MACDとシグナルがデッドクロスになった時は、ヒストグラムは「プラス→0→マイナス」に転じます。言い換えると、ヒストグラムがマイナスからプラスになった時は買いのサイン、プラスからマイナスになった時は売りのサインと捉えることができます。

ダイバージェンス
ダイバージェンスとは価格とテクニカル指標が逆行している状態を指します。たとえば、価格は上昇しているのにMACDは下がっているような状態です。トレンド発生時にダイバージェンスが出現した場合は、トレンドが弱まっているサインとなります。発生しているトレンドが転換する可能性を強く示唆しているため、注意が必要です。
高値圏、安値圏で、株価が以前の高値(安値)水準よりも上昇(下降)しているにもかかわらず、以前の高値(安値)をつけた時の水準よりも下(上)に位置している現象のことです。

MACDが底を打つ時(時点Bとする)、その水準が前回つけたMACDの底(時点Aとする)の水準よりも高いにもかかわらず、時点Bの株価が時点Aの株価よりも安ければその後大きく反発する可能性が高いとされます。
また、MACDが天井をつける時(時点Dとする)、その水準が前回つけたMACDの天井(時点Cとする)の水準よりも低いにもかかわらず、時点Dの株価が時点Cの株価よりも高ければその後大きく反落する可能性が高いとされます。

MACDを活用するときの注意点
では最後に、MACDの欠点と、MACDを使用する際の注意点を見ていきましょう。
MACDは精度の高いテクニカル指標として知られていますが、弱点もあります。弱点をあらかじめ知っておくことで、さらにトレードの勝率をあげることができるでしょう。

MACDの欠点は、じり高、じり安のトレンドが続いているような場合に、一時的に下向きになってもゼロまで下がらずにプラス圏内で横ばいになったり、一時的に上向きになってもゼロまで上がらずにマイナス圏内で横ばいになったりするケースがあります。

この他、横ばい相場ではダマシのシグナルばかり出てしまうことや、相場の天井や大底付近では株価は1日に10%以上も動くこともあり、MACD移動平均線をベースに使っているだけで、株価の動きが短期間に激しく上下動すると把握できないという欠点もあります。

▼ダマシが発生する可能性がある
MACDはトレンドが発生している相場では非常に有効と言えますが、横ばいのレンジ相場には弱く、ダマシも多く発生するリスクがあります。現在の相場がトレンド相場なのかレンジ相場なのか、他のテクニカル指標を使うなどして相場を見極め、MACDを最大限有効に活用できる相場で使用するようにしましょう。

▼トレンド終盤はトレンドレスに
ダイバージェンスなどでトレンド転換のサインが出たのち、次のトレンドが発生するまでのトレンド終盤にはトレンドレス(レンジ相場)となることが多いです。そのため、MACDでは決済のタイミングを正確に掴むことが難しくなります。繰り返しになりますが、MACDはトレンド相場において有効なテクニカル指標であるため、ダイバージェンスなどの相場転換、レンジ相場への移行のサインが見えた際には手法を柔軟に切り替えたりするなどの対応が必要です。

▼ほかのテクニカル指標を組合せて活用するとさらに強力に
MACDは単体でも有効性の高いテクニカル指標として機能しますが、他のテクニカル指標と組合せることでより強力な信頼度の高い売買シグナルとして活用することができます。多く組合せられているテクニカル指標にはRSIや移動平均線などがあります。特にRSIとの組合せではMACDでは認識できない相場の過熱感も併せて判断材料とすることができます。RSIでの売買シグナルとMACDでの売買シグナルがダイバージェンスしていない状況においては、信頼度は非常に高くなるといえるでしょう。

MACDを使って精度の高いトレードを
MACDは、トレンド発生時に精度の高い売買シグナルとして活用することができます。初めは使い方や見方が難しく感じるかもしれませんが、一度理解することができれば非常に力強い取引ツールとして活用することができます。また、RSIや移動平均線といった他のテクニカル指標と組み合わせることでさらに信頼度の高い売買シグナルとして活用することができます。FX初心者から上級者まで万人に愛されるMACDをぜひ使ってみてください。